2014年12月3日水曜日

[NYへの旅] 23.国立9.11記念公園ん(グラウンド.ゼロ=爆心地)を訪ねる

3月27日(水)その1

何人もの人から、アドヴァイスがあった。「グラウンド・ゼロに行くつもりなら、電話で予約した方がいいよ。とても待たされるから・・・」と。
滞在中の予定は、友人・知人が絡むのなら予め時間や場所を決めるが、場所が目当てなら逃げるわけでもなし。何とかなるさ精神で臨機応変に行動する夫は「混んだって大丈夫だよ」と言う。「MoMAのような混雑だったらどうするの?」と気にする妻に、「心配性のオクさんを持つと、大変だよ」と笑い、妥協して早めにホテルを出ることにした。
今までの経験で予約が有効だったのは、まあ半々と言ったところだろうか。

地下鉄のレキシントン駅でダウンタウン方面のE線に乗ると、黒人やアジア系の乗客が目立つ。アメリカ人の住居の住み分けとコミュニティが、路線の利用者に反映している。

朝が早かったので、拍子抜けするほどグラウンド・ゼロ入場の列は空いていた
もっとも、リュック・サックやバック類の検査は、空港のセキュリティ・チェックと同じ厳重体制で行われ、そこで時間がかかった。後から来て、待たされることなくチェックを終えたグループは、予約していたのだろう。これが友人たちの親切な助言だったのだとわかった。

検査を終えると、多くの言語のパンフレットが並ぶ棚から、資料を取り上げた。それを読んで、グラウンド・ゼロ建設の趣旨を理解した。
要約すると、以下になる。
「国立9.11記念碑」は、2001年9月11日の同時多発テロと、1993年2月26日の爆破事件で亡くなった2983人を追悼するために建設された。犠牲者のうち400人以上は初動レスキュー隊員だった。
犠牲者の出た地を神聖な場所として、尊厳を保つために計画された。
③他人を救うために、自らの命を捧げた人々の勇気と他人への思いやりの心を称え、9. 11直後にうまれた絆と団結心を共有できる場所にする。

テロ事件から10年の2011年9月、「9.11記念碑」の一部が完成し、ふたつのプールと博物館の部分だけ公開された。その周辺ではヘルメット姿のたくさんの労働者が働いていて、大規模な建設工事が進行中。公園としてのグラウンド・ゼロの完成は、ずっと先になるのだろう。

ツイン・タワーが聳えたっていた世界貿易センターの跡地を見回すと、テロ事件前に林立していたビルの敷地は、意外に広い。太陽がいっぱい降り注いでいる。
帰国後に調べると、1966から77年にかけて、6・5ヘクタールの敷地に6棟のビルが建設されている。ニューヨークにある建造物の中では、比較的歴史が浅いことを知った。周囲には、年期が入った古いビルが並んでいる。中にはツイン・タワー崩壊のあおりで破損の激しい建物が、当時の姿をとどめたままで建っている。

東西ふたつのプールは、ツイン・タワーが建っていた場所に造られ、段差(9メートル)を利用した滝からは、陽の光を受けてキラキラ輝やく水が流れ落ち、間もなくプール中央の空洞に注ぎ込んでいく。まるで奈落に吸い込まれるように見える水の流れが、地獄を想起させる。ビルが崩壊していった姿を現しているのだろうか。

四角いプールの周辺は青銅の壁で造られ、やや斜めになっている上面に、犠牲者の名前が刻まれている。漢字の名前を所々に見つけ、富士銀行ニューヨーク支店勤務の24人だと気づいた。

その頃、大学時代の友人の娘さんが、富士銀行勤務の人と結婚してニューヨークに住んでいたが、テロ事件で未亡人になった。まだ30歳代の若さだった。悲嘆にくれる母親の姿に、言葉を失った。
ここに名前を連ねている人々と彼らの家族・縁者は、普通の暮らしをしていたのに・・・。そう。テロは傍若無人で人の命を抹殺したのだ。

さらに思い出す。同時中継された映像は、衝撃だった。
黒い煙が立ち上り、粉塵をあげながらビルの倒壊がどんどん進んでいく。
快晴の空を背景に、バラバラと降っているビルの資材、勢いよく落ちて行く人。
頭から血を流しながら、口を覆いながら、非常階段を降りてくる人々。
地上では、警察官が必死になって逃げる人をガイドしている。
ホースを抱えて階段を上っていく消防士たち。
無線機の飛び交う雑音が聞こえる。
「ア、ア・・・」「アレーッ・・・」「ウワーッ・・・」。言葉にならない声をあげていた。

その日、夫は体調が振るわず、ベッドで休息していた。
「大変よ!。起きて!。ニューヨークの貿易センターのツイン・タワーに、アルカイダのテロリストが飛行機で突っ込んだのよ。見て!、早く!・・・。」と、大声をあげる私。
「映画のシーンじゃないのかい」と、寝ぼけている夫。
「現実に起こっているのよ。リアルタイムで中継されている映像・・・」という声に、「本当かい?」と、夫は起き出したのだった。

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