2014年11月16日日曜日

[NYへの旅] 22 . ミュージカル鑑賞

11日目  3月26日(火)その2 

ロングアイランドに滞在中、ヒルダガードが「人気のミュージカルだし、出演している俳優は演技の質が高いし・・・」と、いくつか候補を挙げたので、インターネットで検索した。滞在日程を考慮するといずれも満席で、なかなか決まらない。1時間以上かかって、やっと「Nice Work if You Can Get It」のチケットを入手。ミュージカルは、言葉がわからなくても、喜怒哀楽の感情表現は万国共通で、演技の流れを想像しながら理解できるし、歌あり、踊りありで楽しめるからいい。

ミュージカルの舞台は、1920年代の禁酒法が盛んだった時代。
主人公のジミーは、いい加減な性格の金持ちのボンボン。結婚を控え、独身最後の夜を楽しもうとキャバレーへ出かけて酔っ払った。そこで元気な女性に会い、帰り際に意気投合してさらに大いに盛り上がり、夜が更けた。ところが、彼女は酒の密輸入と密売をするギャング・グループの1員だった・・・。
ということから、てんやわんやの騒ぎが展開する。

ジミーは女性から頼まれて、父親の屋敷の一角にある倉庫に密売酒を隠す羽目になる。やがて、ジミーは密売ギャング・グループの1員と間違われて、警察に踏み込まれる。

意気投合した女性と浮気をしている現場は凄まじい色気の世界だし(役者ながらよくやるよ)、そこに許嫁が現れ、浮気を否定するため辻褄合わせに苦労したり。
気が弱くいい加減な男ジミーが、家族・親戚・ご近所さん・ギャング・警察官を巻き込んで、受難が途切れることなく続いていく。

軽快な舞台展開に笑い転げながら、大いに盛り上がった。あっという間に時間が過ぎ、眠くなる暇なんてなく、楽しかった。

このミュージカルは、2012年、トニー賞の10部門にノミネートされたコメディの人気作品で、ジミー役はベテラン俳優のマシュー・プロティック。「さすが」と唸ったのだが、この役には話題が付け加わった。

というのは、間もなく退任する予定のニューヨーク市長ミシェル・R、ブルームバーグ氏が、途中ジミー役で登場して喝采を浴びたのだ。キャバレーの女性陣に囲まれて気持ちよく演技し、歌を披露している様子が、新聞の文化面に写真と共に出た。市長として市民に人気があるのも、頷ける。東京都知事がミュージカルの主役になるなんて到底考えられないし、その気にもならないだろうから、驚き、感心した。
余談だが、ブルームバーグ市長の月給は、月額1ドル也。IT関係の仕事で成功している億万長者で、市民の税金から給料をもらわなくてもいいんだとか。どこかの政治家が、いい加減な名目で政治活動費を我がものにしているのとは、大違いだ!。

それともうひとつ。
舞台いっぱいに新鮮な美声を響かせ、キビキビした演技で拍手喝采を浴びた少年(実際は女性ソプラノ)が目立った。このミュージカルで6人のコーラス・ガールの1人として出演していたキャメロン・アダムスで、その日急病で休んだベテラン女優の代役として登場したのだ。彼女はすでにいくつかの演劇で注目を集め、注目されていたらしい。ブロードウェイの役者が様々なチャンスを狙い、経験を重ねながらベテランに育っていく。いつ出演できるかわからないのに、ぶっつけで役をこなす普段の努力の一端を垣間見たし、彼女が歌い終わった後にいつまでも拍手が止まない観客の暖かい声援が心地よかった。「こうして役者が育っていく。観客が役者を育てるのだ」と、ミュージカルの本場の空気を感じた。満足の一夜だった。

0 件のコメント:

コメントを投稿