2014年11月15日土曜日

[NYへの旅] 19. ニューヨークへの移動はバスで

9日目  3月24日(日)
ヒルダガードの車で、リバーヘッドにあるニューヨーク市行のバス停留所へ向かう。およそ15分。移動には絶好の日和で、風がなく暖かい。ロングアイランド滞在中の寒さを置いて行く感じだ。

バス停留所前の道路を挟んだ向かい側に、「テンガー・モール」というショッピング・センターができている。「まとめての買い物ができるので便利よ。クリスマスの準備に、わざわざニューヨークへ出かけなくてもいいし、変化の少ない地域でもこうした施設ができて、暮らしには助かるわ」とヒルダガードが言う。

定刻10時45分ぴったりに、高速バスが来た。最近日本でも普及している目的地別の高速バスと同じだ。ほとんど席はふさがっていたので、夫とは通路を挟んで斜めの席に別々に座った。
乗車後すぐに、車掌(黒人女性)が来て運賃の支払いをした。1人22ドル也。ほとんどの乗客がクレジットカードを利用するから時間がかかる。
車掌は見事な巨体で、やっと通路をすり抜けている。圧倒されて、思わずお尻を見上げてしまった。
集金が終わると車掌の次の仕事は、「マッフィン、チョコレート・バーの他に、水とオレンジジュースを希望者に配ります。無料です」と言う。大きな箱を肩から下げてやって来る。「いる?」と聞く声が可愛い!
オレンジジュースを取り、早速飲むとじつに美味しい。説明を読むと、USA、ブラジル、メキシコ、コスタリカ、ベルゼー産のオレンジを原料にした100%ピュアジュースとある。
隣りに座っている若い女性が、窮屈そうに脚をあげ、踝に絆創膏を貼って手当てを始める。アメリカ人には、若い頃から脚のトラブルを抱えている人が多い気がする。細い脚に対して体重の割合が多いのだろうか。彼女はその予備軍だと想像する。

マンハッタンまで数カ所停車し、乗客が次々と降りて行く。
私たちは51丁目で下車し、ワンブロック先のホテルへ。タクシーを利用するにはあまりにも近いので、勝手に向きを変えるスーツケースと格闘しながら歩く。いずこの都会の通りは、段差が多いのが難点だ。

さて、ホテルは、街の中心部にある「パレスホテル」で、日本から予約した。「目の前のセント・パトリック寺院裏が見える部屋」と注文もつけた。寺院そのものが観光名所で、滞在中、部屋から眺める楽しさを考えたからだ。もちろんホテルがニューヨーク市内の観光にとても便利ということもある。
チェック・インには早いので、とりあえずスーツケースを預けることにし、念のため、「希望の部屋になるでしょうね」とたずねる。宿泊台帳を確かめた若い男性の受付は、「予約はありますが、部屋の注文はありません」とつれない。夫はインターネットでの予約のコピーを取り出し、次第に大声になって一悶着
受付が「チェック・インまでに、調べておきます」と言うので、身軽になって、昼食と街の探検に出かけた。

今日は棕櫚の聖日。セント・パトリック寺院(注)のミサを終えた信者が、棕櫚の葉を捧げ持って、正面の出入口から出てくる。その群れに逆らうようにして、寺院内に入り一巡すると、次のミサが始まった。しばらく様子をみたが場違いの雰囲気で、ステンド・グラスなどをゆっくり見ることができない。「今日は無理だ。いずれにしよう」と外へ出た。陽の光が降り注いで眩しいが、太陽の周りには虹がかかっている。雨が降っていないのに不思議・・・。

(注)セント・パトリック寺院・・・カトリックのアイルランドの守護聖人パトリックをまつった寺院で、1858年に着工し、1878年に一応できた。現在の高さ100メートルの尖塔とマリア聖堂の荘厳な姿は、1908年に完成。アメリカ最大のゴシック建築で、直径が8メートルのステンド・グラスのバラ窓は、何度眺めても素晴らしい。祭壇を設計したのはアメリカのガラス工芸家L.C.ティファニー(1848〜1933)。蛇足だが、彼の父親は貴金属会社”ティファニー”を設立した人。
毎年3月17日は「セント・パトリック・デイ」で、五番街で大パレードが行われる。以前、「この日はみんなアイルランド人よ・・・」とミドリ色の物を身につけて、パレードの華やぎに加わり、家族で楽しんだ思い出がある。

近くの軽食店「HEAVEN」に入り、遅い昼食。チキンカツとスープを頼み、ニューヨーク市観光第一歩をビールで乾杯。そう若くはないウエイトレスが、鳥のさえずりのようなハイオクターブの声で注文をとった。バスの車掌もそうだったが、サービス業に携わる女性には、ソプラノで話す人が多いのか・・・。

その後、グランド・セントラル駅の高い天井を見上げ、近辺を歩く。

3時15分頃、ホテルにチェックイン。受付の男性は、セント・パトリック寺院裏に面した部屋(1518号室)に変更し、「1ランク上の部屋ですが、料金は申し込みのときと同じです」と勿体をつける。夫の抗議が役に立った。

部屋に落ち着き、シャワーを浴び、洗濯を少々。
バスの移動があったし、草臥れて再び外出する気力がない。「明日からの余力を残さなくっちゃ・・・」と持参の日本食を食べ、休息の夜を迎える。
こんなとき「年齢には争えないな」と、しみじみ思う。

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