2014年11月3日月曜日

[NYへの旅] 10.ポートジェファーソンのレストランで

4日目  3月19日(火)その3  

ヒルダガードが運転し、助手席には夫、後部座席にマルゴーと私が座った。
高台の家から港への道は、細い急な坂がクネクネと続いている。先ごろまで、マルゴーはどんな運転をしていたのだろうか。

「そこを右に曲がって、50メートル走って、さらに右へ・・・」。
「急な下りになって坂が続くから、慎重に・・・」。
「住宅が続くから、人の動きに注意して・・・」。
いつのまにか、マルゴーは後部座席の中央に陣取り、運転席に身を乗り出して案内している。私は窓側に身を縮める。彼女は、自分が運転する気分になっているのだろう。道案内をするマルゴーの様子に、びっくりした。

波止場の駐車場に停まり、夫が急いでドアを開けようと飛び出したときには、マルゴーはもう歩き出していた。背筋をピンと伸ばし、スタスタと先頭を速足で歩いていく。レストランのドアを開けるときに手を出すと、「私は大丈夫よ」と、拒否された。ヒルダガードは、「いつもそうなの。自分でできることは、他人には頼らないと考える人なの」と笑った。

波止場にあるレストラン「WAVE」は、2012年10月、アメリカ東部を襲ったハリケーン”サンディ”の通過で水没し、大きな被害を被った
新鮮な海鮮料理で知られ、ニューヨークからも客が訪れていたから、復活が早かったと言う。「よかったわね。ここで食事が出来るんですもの」。
常連のマルゴーとヒルダガードは、私たちを招待する場所の復活を喜んでいる。

前菜に、1ダースの生牡蠣をふた皿頼み、「ニューヨークのグランドセントラル駅のオイスターバーよりも、美味しい」と堪能。ジューシーな味わいの生牡蠣を食べたのは、何年ぶりになるか。
主菜は、メニューを睨んで、各人が好みを選んだ。
夫はブイヤベース、私は帆立のバター焼きにしたが、なんと美味しかったことよ。量が多かったが、「こんなに美味しいものを残すなんて、もったいない」と、ほとんど平らげた。
カプチーノやシャーベットで食事を終了。食事中も多彩な話が弾んだことは、言うまでもない。

マルゴーを自宅に送って、「長い時間の話だったから、お疲れでしたね。ありがとう」と、すぐに辞去した。マルゴーは20数段はある階段を踏みしめながら、後ろを振り返ることもなく、台所の扉に消えていった。

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