2014年11月9日日曜日

[NYへの旅] 13.垣間見るアメリカ社会の変化

6日目  3月21日(木)その1  

昨日から春らしい明るい陽射しになった。庭のクロッカスが一斉に開き、眩しく輝いている。午後からの天気は、下り坂の予報だ。
午前中、液体(アルコールとガソリン)補給をしたり、溜まった雑用を片付けたり。

寒くても、暑くても、電気をふんだんに使っていたアメリカのエネルギー消費が様変わりしている。無駄をしないという意識の変化が、公共でも個人でも見られ、堅実になっている。
ヒルダガードの場合、家の温度設定は人がいる場所は22度C、廊下は17度C。使わない部屋のスティームのバブルは閉めて、こまめにチェックしている。

他の地域は知らないけれど、以前のニューヨーク郊外のロングアイランドでは、1年中、家庭の普段着はシャツやTシャツにパンツ姿が多かった。寒い季節になると、その上に分厚いダウンジャケットを羽織った。時折りの改まった場所で、例えば観劇やコンサートとかパーティなどで、見慣れた服装とお洒落着との落差に目を見張ることがあった。「”馬子にも衣装”の変身だわ」と、感心したのだが・・・。
ところが今回は、室内でのカーディガンやセーター姿が目に付き、脱いだり着たりして調節している。
「厚着が一般的になったし、その分、お洒落も楽しめるのよ」とヒルダガードは言う。ふむふむ、寒暖の季節感があると、お洒落の条件にもなるらしい。会話をしながら理解するその人の感性が、服装のセンスにも伺えるのだから、面白い。

今日は、メトロポリタン・オペラの「ファウスト」鑑賞の日。
午後3時に地区の図書館を出発し、ニューヨークまで貸し切りバスで出かけることになっている。
オペラの企画を担当しているヒルダガードは、昨日から、少々緊張気味だ。バスの運転手との打ち合わせ、出席できない人とのキャンセルの連絡、レストランからのメニュー変更の知らせ、チケットの座席の確認など、ひっきりなしの電話のやり取りが続く。

集合時刻より1時間ほど早く家を出た。
図書館に隣接する高校が、ちょうど下校時刻で、校庭にスクール・バスがズラリと並んでいる。
授業を終えた生徒たちが、次々と校舎から出てくる。
手を繋いだカップルが、別方向のバスに乗るのだろう。何度も何度もキスをして別れを惜しんでいる。目を見つめあっている風景は、まるで映画の1シーン。
辺りを頓着せずに指を舐めながらピザを頬張った女生徒が、無心に歩いていく。こちらは色気より食い気の虜の風情だ。
中年のおっさんといった雰囲気を醸しだしている男生徒がいる。顔中に髭を伸ばし、体格も大きいが、他の生徒と他愛なく話している声は意外に幼くて、「アレレレ・・・」と目を見張ってしまう。声と風貌のミスマッチがすごい。
じゃれるようにして走って行くグループ。解放感いっぱいのエネルギーが溢れている。

黄色のスクール・バスは、アメリカの公民権運動の原点だった。現在は、アメリカのティーン・エイジャーの日常を知る舞台だ。期せずして、目の前の光景は実に興味津々だった。アメリカの高校生の姿を眺めながら、体力・知力の発達がかなりの幅を持っているし、違いがあることを知り、とても楽しかった。バスが出発するまでの時間が短かく感じられた。

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