2013年4月6日土曜日

7月27日(金)休養日の出来事

午前中、「旧市街で散歩しながら、お土産を買おう」と出かけた。
ゆっくり買物がしたいのに、夫は「滞在中に、”市の塔”に登るつもりが、まだ実現していないし・・・」と、あんまり気乗りしない様子。
高所恐怖症の私は、「どうぞ一人で登って・・・・」と、気が進まない。

結局、別行動して、待ち合わせることにした。
旧市街には古くからの老舗があって、ウインドウ・ショッピングだけで充分楽しんだし、夫は市の塔からの展望を堪能して、満足した。

街の老舗のデパートメントストア”カウフハウスチロル”で、お土産を探したが、「買物は最後にまとめて済ませようよ」と、店を出た途端、事件に出くわした。

アラブ系の少年が、大きいビニール袋を脇に抱え、脱兎のごとく走って来た。
ほとんどぶつかる直前の勢いに、「危ない!」と叫んだ。数メートル先に、老夫婦が呆然と立ち尽くしている。言葉にならない声をあげ、腕を振り上げて、少年の走り去る方向を指している。
「ひったくりだ!」と直感。一瞬の出来事で、少年の姿はたちまちに見えなくなった。通行人も気がつき、「泥棒だ!」とざわめいたが、追いかける者はいない。
少年が走り去った道のところどころに、下着・靴下・シャツなどの衣類が落ちている。
おそらく、老夫婦はホテルに滞在中の観光客で、コインランドリーで洗濯を終え、大きな袋に納めていたのを狙われたのだろう。

「インスブルックの観光は、治安のよさを強調しているのに・・・。最近はそうもいかなくなったのだろうなあ・・・」と話しながらホテルを目指した。
途中に衣類が点々と落ちているのに気づき、少年はこの道を走り続けたと理解した。

ホテル滞在が長くなるにつれて、気になっていた。ホテルはインスブルック中央駅前にあり、正面玄関の角を曲がったレストラン出入口付近に、若者がたむろしているのだ。彼らはなにをするでもなく、通行人を眺めている。何度か、警察官が若者に話しかけているのを見かけていたが、相変わらず、仲間内でふざけたり、歩道に座っている。その前を歩くのはちょっと不気味だったが、日本人には「ニーハオ」と笑顔で挨拶するから、ときには「こんにちは」と返して来た。

今日の事件を見て、確信に変わった。仕事がない若者が、観光シーズンを目当てに、よからぬ目的で出稼ぎに来たのではないか。
旅行社は「ひったくり・スリ・泥棒などを正業にする者が多いから注意するように」と、観光客に警戒を呼びかけているし・・・。

明るい陽射しが溢れている帰路だったが、それまでに抱いていたインスブルックの印象に陰りを感じた。EU圏では、シェンゲン協定で国境を越える移動が自由になっている。最近は、ヨーロッパの経済問題が深刻だし、失業に伴う出稼ぎが増え、治安問題が日常生活に影響している。そんなことを考えさせる出来事だった。

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