2012年10月19日金曜日

7月7日(土)ホテル生活のあれこれ




【28日間滞在したホテル・オイローパ。左面が正面で、駅前広場に面している。右面は旧市街に向かう道路に面している。】
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インスブルック到着後、高揚した気分に誘われて好奇心もあったし、2日間有効のインスブルック・カードを最大限利用しようと連日出かけ、いささか草臥れた。まだまだ先は長いと、今日は休養日にした。

ホテルの部屋の窓からは、近くに聳えるノルトケッテ連峰が見える。目覚めると真っ先に眺め、ノルテケッテが霧に包まれて隠れていると、挨拶ができないからがっかりする。樹々の茂みの緑の濃淡や岩肌の荒々しい亀裂がくっきりと見える朝は、それだけで1日の始まりが楽しくなる。
夕べには、いつまでもほの暗く輪郭をあらわしている姿に見惚れて、時間を忘れる。だが、日中のノルテケッテを、充分に眺める暇がなかった。

今日は、ノルテケッテ連峰に動物の角のように切り立っているフラウ・ヒットがよく見える。伝説の無慈悲な女性を象徴しているらしい。古今東西の物語には女性が意地悪で残酷な話は多いし、魔女もいるし・・・。単純で?、”気は優しくて力持ち”の男性よりも、本質は女性の方が恐いという潜在意識があるのか?
雲の流れを追い、あれこれくだらないことを空想してしまった。

添乗員の鈴木さんが花瓶にさしたマーガレットを持って現れ、「部屋の飾りに・・・」と置いていった。ホテルの部屋が自分の居場所になった気分になった。

午後、旅行社がロビーに設置した情報掲示板を見るために下りて行くと、目だけ出した黒いベールの10数人の集団がいた。厳格なイスラム教の婦人たちだ。暑い時期の開放的な服装が多い中では、見慣れないから異様な感じがする。インスブルックだけでなくチロル州には、アラブ世界からの観光客が多い。緑への憧れがあるだろうし、地理的にも遠くない。

終日ホテルにいると、わかることがある。
「ガターン・・・」。突然、洗面所から大きい音がし、飛び上がった。おそるおそる覗いてみると、壁のタイルが剥がれて飛び散っている。3、11地震後の状態を思い出す。

そうそう、ホテルにチェックイン直後の点検をしていたときのこと。トイレの便座の蓋が斜めにゆがんでいるので、真っ直ぐにしようと試みていたら、蓋のネジがすっぽりと取れてしまったし、蓋には大きなヒビが入っていて気にもなっていた。設備が相当に老朽化しているのだろう。

これら設備のメインテナンスが十分でないのに加え、シャンプーなどのアメニティが揃っていないのも気になる。フロントに連絡すると「品切れです」と言う。1回ならともかく、毎日何かが不足しているのだから、「在庫管理はどうなっているんだろう」と呆れ、諦めた。

今回の滞在では、インスブルック中央駅前にある「グランド・ホテル・オイローパ」を選んだ。ハイキングや小旅行をする利便性を考えたし、町を代表する5星ホテルだというのもいい。宣伝には、かつてイギリスのエリザベス女王が滞在し街の”迎賓館”の役割を持つとあったので、格式のあるホテルだろうと大いに期待していたのだが・・・。

伝統のあることが、設備の古さやサービスの足りなさの言い訳になるとしたら、泣けてくる。

もちろん、いい面もある。
ホテル併設のレストラン「オイローパ・シュトゥーベール」は、洗練されて美味しいと評判だ。ステイタスが高く、ちょっと改まった雰囲気で、地元の人で賑わっている。他のホテルに宿泊している観光客がわざわざやってきて、「ここの食事は美味しい」と感激していたし、毎朝利用する多彩な食事が充実しているから、宿泊する者には有難い。1日の健康をサポートしてくれると満足し、週に2回のツアー仲間とは夕食を一緒に食べ、楽しんだ。

チロルの人は素朴だといわれるが、責任のある立場のホテルスタッフには、親切で、人の良さを感じることもしばしばあった。レストランの部門のスタッフ、特に女性の笑顔は素晴らしい。ただし、掃除担当の従業員の中には、頼んだことがそのままということがあり、後になって、臨時に雇用されている外国人だから、ドイツ語・英語が通ぜずにわからなかったのかもしれないと理解した。

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