2013年3月11日月曜日

7月20日(金)チロル州議会見学

10時。地元旅行社の特別企画・旧州庁舎内にあるチロル州議会見学へ。
滞在中の日本人が30人近く参加した。街の様子がある程度つかめてきたので、時期を得た勉強になった。

州議会責任者ホフ・ハウワー氏が「議会見学をする日本人は初めてですよ」と歓迎の挨拶をし、先ず旧州庁舎や議会内部の装飾・彫刻などを解説しながら案内してくれた。

現在の旧州庁舎は、チロルで最も重要なバロック宮殿のひとつで、1725年から4年かけて建設され、部分的にはそれ以前の古い部分も残っている。

議会の天井画は、ウイーンで活躍していた画家が、1735年に描いたものだ。

議場の前面の壁の右側に聖職者、左側に貴族、後ろの壁にはブドウを持つ農民の彫像がある。

「チロルの農民は、比較的早く領主から自立して土地を持ちましたよ」と語りながら指差す壁を見ると、天使がひとりの人物の首を切っている。「”農民が束になれば力になる”ことを、あらわしているのです・・・」。
天使に仮託して、農民の立場を象徴的に示しているらしい。それだけ農民の怒りが大きかったのだろうが、呆気に取られた。

議場の壁面には、他にも聖書と結びつけてチロルの物語(歴史)を描いた絵や彫刻が多い。13世紀にチロルのキリスト教をまとめた人物像が描かれていて、左手を差し伸べているのは優しさを、右手に握る劔は厳しさを表しているとか。

チロル一帯では、1340年代には支配者と市民との話し合いがあったし、1363年からのハプスブルク家の支配では、市民の権利を認めていたという記録がある。こうした流れが、実質的な議会の始まりになったらしい。

インスブルックに到着して時間が経つにつれ、チロルの人たちが地域の伝統に対して非常に誇りを持っていることを、いろんな場面で感じていた。
議会の歴史や絵画・彫像の具体的な説明を聞きながら、チロル人の誇りは、こうした背景から育ったのだと感じ、なるほどと思った。

その後、州議会の議場の椅子に座って話を聞き、質疑にも丁寧に答えてくれた。チロル州の歴史、州議会の役割、その他、1時間余り。
具体的な議会活動に関連する話は興味深く、ときに笑いを誘ったり、感嘆の声があがったり。通訳をしたモラスさんは、ホフ・ハウワー氏を州議会議長と紹介したけれども、わかりやすい説明と聞き手を飽きさせない話術から、ひょっとして議会の事務方のベテランで、案内や説明に慣れた担当者ではないかとさえ思った。
面白くて楽しんだ。

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