⑴ オーストリア共和国には首都ウイーンと8の州があり、行政の権限は主に州にある。以前から、中央集権と地方分権の立場の違いは、ドイツの影響では国が強いし、スイスの影響では州が強い。例えば税金をみると、国と州の分担の違いが州によって異なっている。
⑵ 州議会議員の選挙は5年に1度行われ、チロル州では16歳以上に選挙権がある。
16歳の選挙権を認めることについては、激しい議論があった。選挙は州の政治に影響するのだから、権利と責任を伴うが、16歳はまだ未熟だと。そこで、家庭で選挙や政治について話す機会を多くし、16歳でも責任を果たすことができるという世論ができた。若者の考えが政治に反映するので、チロル州住民の安定につながっている。他の州に比べて地元を離れる者が少ないから若者の失業率が低いし、犯罪が少なくて治安がよい。
(これは逆にいえば、谷毎の共同体はお互いによくわかるし沢山の目があるので、保守的な面があるとも言える)
⑶ 選挙権については複雑な事情があって、オーストリア国籍を持つ者となっているが、最近は地方自治体ではEU国籍を認めている。
⑷ 前回2008年実施のチロル州議会選挙では、36名の議員を選出した。そのうち10名が女性。平均年齢は54歳。投票率は78%だったが、それ以前は80%以上だった。
16年間、オーストリア民主党が実権を握り、他に自由党・社会保障党・みどりの党などの議員がいる。
⑸ 議員は議会会期中に、最低2回の発言機会がある。だれかが準備した原稿の読み上げは許されない。自分の意見をはっきりと言い、その様子はカメラに収められてインターネットで放映される。議会の議論は、静かに聴くことに徹し、ヤジは嫌われる。
(日本の国会議員に聞かせたいなと、思った。)
⑹ その他に、ウイーンの国会にチロルを代表する議員がいて、活躍している。
オーストリア共和国の発展の柱は、観光資源、社会福祉、環境保護の3点。
法律制定の材料を説明する専門家がおり、その助言に基づいて議員が討論し、法律ができる。
専門家は将来を考える人たちで、環境・防衛・社会福祉・エネルギーなどの各分野で活動し、議会と深く結びついている。
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