2013年3月11日月曜日

7月20日(金)「PENZ」の朝食、行政の発想

「PENZの料理は素材が良くて、美味しいんですよ」。
そんな評判を地元の人から聞いた。毎日食べているオイローパホテルの食事は美味しいけれど、目先を変えて比べてみたい。それに好奇心もある。
そこで、今日の朝食は「PENZ」ホテルの屋上テラスへ出かけた。

市庁舎の隣りに、最近できたばかりの近代的なホテルがある。
その最上階のレストランは、眺めが素晴らしい。ノルテケッテとパッチャーコーフェルの山並みに朝もやがかかり、なにものかに吸い込まれるように、どんどん消えていく。しばし自然の絶妙な躍動を眺める。これもご馳走の内だろう。

ヴァイキング式の朝食は、料理の種類が多い。なにを選ぼうかと、迷ってしまう。まずはゆっくりと眺めて楽しむ。
珍しい南国の果物、多彩なチーズとハム、野菜、ジャム類が並んでいる。
反対側のテーブルには、調理された数々の料理があり、注文するとできたての皿が供される。オレンジジュースの絞りたての爽やかさと、マッシュルーム入りの焼きたてのオムレツの香ばしさ。
期待に違わず満足して、優雅な1日の始まりとなった。

すぐ隣りの建物に市長室があるのだから、インスブルックの市長も朝食の常連で、仕事前にやってくるのだとか。

朝食の話のついでだが、市庁舎の立地が面白いし、発想が素晴らしい。
市長が街の行政を考えるには、実に理にかなっているのではないかと思ったので、記録しておこう。

街の暮らしに仲間入りしてすぐ、町歩きのガイダンスで初めて訪れたのが、ショッピングセンターだった。「ここに市庁舎がありますよ」と説明されて、びっくりした。
街の再開発で最近完成したばかりの建物の内部には、洒落た店、予約しないとはいれない評判のレストランが並んでいる。窓に飾られている品々。店内のレイアウト。色彩の素晴らしさとデザインのセンスの良さ・・・。それぞれの店が競うように洗練されているし、個性を感じさせる佇まいが良い。
「でも、どこが市庁舎なの?」と辺りを見回し、やっと理解した。
市が土地とビルを提供し、レベルの高い店を店子にして観光名所にした。店の大家は市長だったのだ。市長室は、建物の最上階にある。

ビルの建築費は家賃から還元されていく。住民にしても、街中に買い物に来たついでに、市庁舎に気軽に行かれる。
市長自ら、毎日、店の様子や人の動きを見ることだろう。否応なしに人々の暮らしぶりを感じるだろうし、観光面の経済状態をチェックすることにもなろう。
市長の皮膚感覚が、行政に生かされるに違いない・・・・。
そんなことを想像し、すべてはいいことづくしとはいかないだろうけれど、この建物自体が、インスブルック経済の動向を反映していると感じたのだった。

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