2012年3月18日日曜日

人工都市ドバイへ到着






【到着後、朝食を食べたグランド・ハイヤット・ドバイ・ホテルのロビー】

ドバイ① 3月21日(月)
4時50分、夜明け前の闇を切り裂くような轟音を響かせ、エミレーツ航空EK319便がドバイ空港に降り立った。

コントロールカウンターへ向かう乗客が、疲れきった寝不足の表情で歩いている。
3月11日以後の日本全体が、特に子どものいる家族が、原発事故の底知れぬ厳しさにおののいてきた。乗客の誰にも、原発事故から逃れて遠くにやってきたという安堵感と、日本を離れた屈折する気持ちがない交ぜになっている。旅の始まりの華やいだ気分からは、まだ遠い。

入国審査を終えると、ガイドのTさんが待っていた。日本人だが、民族衣装の黒のアパヤを着ている。イスラム教徒なのだろうか、あるいはガイドの制服なのか。
「トイレは大丈夫でしょうか? その後、バスが来るまで、お目覚めのコーヒータイムをとります・・・」。
ドバイ到着が現実味を帯び、好奇心のスイッチが入って、次第に元気になって行く。

スーツケースをガラガラと引きながら、華やかな色彩に溢れるタックスフリーの商店街を通り、真昼の都会を思わせる明るい一角を歩く。早朝なのに、右往左往する人々が喧騒を撒き散らしている。

Tさんの案内で、朝食場所の「グランド・ハイアット・ドバイ・ホテル」へ。
ホテルのロビーに入ると、まるでアラビアンナイトの世界へ誘われる錯覚を起こした。もっとも、UAE(アラブ首長国連邦)の中でもドバイが例外的な都市であり、近代的なホテルはその象徴的な部分だと、だんだんわかってくるのだが・・・。
天井まで吹き抜けのレストランには、観葉植物の緑が溢れ、ジャングルのようだ。壁を伝って流れる水が人工池に注いでいる。噴水が飛沫を散らしている。なんとも豪華な雰囲気の中での朝食だ。バイキング料理は洗練され、もちろん美味しい。目移りしてどれにも挑戦したくなるが、到底無理。お互いに評論家気分で味を披露し、賑わう。

食後、てんでにホテル付設の庭園を歩く。樹木の緑、草花の鮮やかな紅や紫が溢れ、愛らしい小鳥の囀ずりが響く。朝の8時前なのに、早くも東屋で寛ぎ、プールで泳いでいる人々がいる。たくさんの庭師が、ブーゲンビリヤやペチュニアの花柄を摘んだり、散水したり、小径の草取りをしたり、手入れに余念がない。空港とは対象的な、魔法がかけられたような静謐な別世界だ。
朝食の体験は、想像の域にあったUAEの姿を理解する導入部になった。観光が進むにつれ、ドバイは、アラブ世界の別格な存在で、聞きしに勝る近代都市だと痛感した。

思い出す。 1年前、次男夫婦が新婚旅行先に選んだのが、ドバイだった。
「なんでドバイなの?」
「ビジネスをする上では、興味がある土地だよ」。
そんなやり取りをしたのだが、不肖の親は時代の動きに疎かった。 意外に早く、クルーズの乗船地として訪れる機会がやってきて、若い夫婦が新婚旅行先に選んだ理由が、やっと理解できた。わずか半世紀足らずの歴史なのに、近代化の夢と希望を実現するエネルギーが溢れて、眩しい印象だったのだ。

ドバイに到着した日、船にチェックインする前に、観光バスでドバイの新市街・旧市街の名所を巡り、ツアーならでの観光のさわりを効率よく回った。カメラ・ストップしたり、下車して歩いたり。 それぞれ面白く、異文化への興味は尽きず、だがイスラム教への疑問は解けず、かえって中東世界への関心が増えた。 歴史が刻まれた砦跡の博物館と、石油以前のドバイの暮しを再現したヘリテージビレッジは、特に印象に残った。

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