2012年3月25日日曜日

ドバイモールの賑わい




【モール通路から水族館の水槽が見える。巨大魚が遊泳している】

ドバイ⑥ 3月22日(火)午後

「バージュ・カリファ」の展望台を降りたあと、すぐ近くにある観光スポット「ドバイモール」へ歩く。2008年に完成したモールは巨大ショッピングセンターだが、水族館、映画館、スケートリンク、その他、各種の娯楽施設があって、全部を見るのは到底無理だ。触りの部分を歩いた後、自由時間には、中央ロータリー近辺で、行き交う人々を眺めたり、ウインドウショッピングをしたり。トルコから輸入のチョコレートは大人気で、店の混雑ぶりに圧倒されたり。

買い物にはとんと関心がない夫は、時間つぶしに眺めた水族館が気に入ったらしい。「巨大な水槽は世界一だってさ。日本企業が造ったアクリルの透明なものだよ。珍しい魚もたくさん泳いでいるし、感心するなあ。凄いよ」と、カメラを構えたり。帰国後のテレビ番組で、このアクリル水槽は、特殊な技術で厚さが数十センチもあることを知った。

パリのシャンゼリゼ通りやニューヨーク五番街に並ぶ高級ブティックの店舗が軒を連ね、扱う商品の質・量ともに世界一。 商品の値段も世界一で、よくぞ景気よく売れるものだ、どんな人が買うのだろうと、他人様の懐具合を思う。オイルによる好況だろうが、日本のバブル経済の頃を思い出す。

観光客には、中国系の団体が圧倒的に多い。ぞろぞろと群れをなし、声が大きいし、手荷物をいっぱい持って、モールの幅いっぱいに広がって歩く。彼らは経済的に成功した人たちなのだろうが、マナーはいただけない。どうしてこんなに騒がしいんだろう。「クルーズに、こんな中国人がいるとたいへんだな・・・」と、ふと思う。

日中は暑いので家で過ごすドバイの家族連れが、夕方になるとやってくる。小さい男の子が背広を着て、一人前の紳士然としている。「日本の七五三スタイルだ」と可笑しい。女の子も凝った民族衣装だ。アパヤを着た女性が、颯爽と裾で地面を払って歩いている。よく見ると、男女共に民族衣装の裾が長い。

女性のランジェリー専門店には、手の込んだレースのブラジャーやショーツが並び、中には、ほんの少しの面積しかない大胆なデザインもある。そうだよなあ。アラブのベリーダンスの衣装は、肉体を誇示しているなあ・・・。でもね、イスラム世界の多くは、「女性は肌や髪の毛を覆って、家族以外には見せてはいけない」と、厳格な教えがあるのに。「不思議、不思議・・・」と呟く。
ガイドに聞くと、「自宅では、開放的ですよ。精いっぱいおしゃれをします。ここでランジェリーを買うのは、お金持ちですから、なおさらでしょう・・・」と。

モールを歩いているアラブ人を見ていると、服装でほぼ身分の違いがわかる。例えば、白いターバンは公務員だし、さらに、ターバンの色で出身地が分かる。貧富の差も、想像できる。

ドバイには、「世界一」の形容詞がつくものがたくさんあって、意気込みはわかるけれど、「なんでも一番」を主張する子供っぽさも伝わってくる。お得意なんだろうなあ。ドバイの街は発展途上にあり、まだまだ変貌を続けて、世界一が増えることだろう。

ドバイ観光初日は、見るもの、聞くもの全てに好奇心が掻き立てられ、アラブ社会を覗く入口になった。ついでに、Tさんから聞いた話などを記録しておく。

ビルや道路の建築に携わる労働者の大半は、インドやパキスタンからの出稼ぎで、安い賃金で働いている。移民に頼っている労働事情は、多くの先進国でも見られ、多くの問題が潜在する。ドバイの繁栄の背後にも、出稼ぎ労働者の厳しい生活があるという。
これらの出稼ぎの労働者に、世界中からやってくる背広姿のエリートビジネスマンを加えると、ドバイに住んでいる人の80%は、外国人だとか。
残る20%が、UAE国籍を持つ公務員とその家族で、ドバイの街全体の女性人口は30%足らず。
ドバイの居住者の偏りは、そのまま貧富の差を現している。急激な変化を遂げる都市は、一握りのエリートが舵をとり、肉体労働者を含めて、男性中心の社会構造で成り立っている。

砂漠の中の人工都市ドバイでは、100年、200年先を見据えた都市設計が進行している。1966年に発見された石油資源のお陰で、近代都市へと変貌著しいが、石油資源にも限りがあるから、外国企業の誘致と優遇策を積極的に展開している。
背広姿のエリートビジネスマンが活躍しているのも、世界の金融市場の役割を担って急成長しているのも、長期的な都市設計の具体的な姿だと納得。

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