2012年3月10日土曜日

アラビア情勢の急展開

ところが、以前から不穏な動きがあったイスラム圏の国々で、政治情勢が急展開した。チュニジアのベンアリ政権が崩壊し、続いてエジプトのムバラク政権も倒れた。この段階で、中東情勢の不安定を危惧して、船会社は寄港地を変更。イエーメンやエジプトには寄港せず、代わりにヨルダンやイスラエルが加わった。

「陸地での移動ならデモに巻き込まれる危険があるかもしれないけれど、海上の船までデモは押し寄せないよ。危なければ、海上を漂っていればいい」

「でも、イエーメン沖にはソマリアの海賊が跋扈してるでしょ。獲物がやって来たと狙われる恐れはあるんじゃない? 飛んで火にいる夏の虫だわ」
「大型客船にハシゴをかけてよじ登るのは苦労するよ。でもね、海賊が成功すれば3000人前後の乗客がいるのだから、大儲けだろうな。タンカーの喫水線は低いし、乗組員は少ない。海賊の襲撃の成功率は、そちらのほうがずっと高いと思うけれどな・・・」。

よくぞ無責任な、ノー天気な気分だったことか。

「エジプトが抜けるなんて、いちばんのお目当てだったのになあ」と残念だったが、アラビア半島を巡ってスエズ運河を通るクルーズへの期待と魅力は大きかった。船長の判断を信頼しようと、出かける気持ちはますます募った。

躊躇して先延ばしするよりも、先ずは具体的に考えて動く。そうすれば、次が見えてくるし、なんとかなる。申し込みから3ヶ月経ち、すでにキャンセル料金が高額だという現実的な判断もあった。

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