2012年3月29日木曜日

アブダビ観光後、避難訓練実施




【ヘリテージビレッジの岸辺から内湾越しに新市街を望む】

アブダビ③ 3月23日(水)
その後、「ヘリテージビレッジ」へ。埋立地にあるし、カンカン照りだし、入口の「温度50度c、湿度70%」の表示を見なくとも、忽ちに目が眩む。

最初に訪れた部屋には、「ルブアリハリ砂漠=何も住まない砂漠」の生活が再現されている。現在はサウジアラビア領内にある砂漠の遺物は、国境線が定かでなかった時代の名残りだ。アラビアの生活を知ってもらいたいと、アブダビ政府が創ったという。過酷な自然の「何も住まない砂漠」と命名された地に、人間は生きてきた。水を貯える壺、ラクダの毛でつくったテントなど、極限を生きるための知恵と工夫に驚く。黒や茶色の見事な文様の衣類もあり、素晴らしい。今も砂漠地帯を往来し、交易しながら遊牧生活をしている人々が、ほとんど変わらない道具を用いているという。

別棟には、砂漠から続く山岳地方の暮らしが展示されている。
石を利用した住居。陶器や織物に混じって、コーラン台、ガラス器、鞣し皮細工品など。手間ひまをかけて作られた品々に、定住生活の物質的豊かさを感じる。

白いアラブの民族衣装を着た係りの男性が、カメラを構える夫を手招きしているので、撮影禁止の場所かと、ドキッとする。「日本人ですか?」と聞くので頷くと、ニコニコしながら、「日本はいい。最近のアブダビの近代化には、日本企業が協力していますよ」と、親しみを込めて話し出す。褒められれば悪い気はしないが、ビックリするなあ。よっぽど暇だったのだろう。しばし、ドバイの観光から始まったUAEの印象など、話す。

その後、バスで走り、ときどきカメラ・ストップして、街の様子を眺める。
大統領府前の高いポールに、国旗がはためいている。「あのポールの高さは、世界で第2位で、第1位はヨルダンなんですよ」。ガイドの解説に「また出たよ」と、笑ってしまった。

酷暑の観光は厳しいが、建物やバスの中は冷房が効きすぎている。「ドライバーさ〜ん、冷房、切ってもらえませんか〜」との声に、ガイドは「アラブ人は、涼しいことが最高のおもてなしと考えるんですよ」と、取りなすように言う。お金持ちの生活や観光面には、豊富なオイルの恩恵があると理解し、セーターを羽織る。

アブダビ観光は午前中で終わり、昼食は、日本の駐在者に人気のある中華料理店
「中華餐廳」へ。飲茶中心で美味しい。クルーズ中の船の食事はイタリアン中心だから、早くもアジアの味が嬉しい。






【避難訓練でデッキに集まった乗船客たち】

船に戻ると間もなく、避難訓練があった。
海事法では、「乗船・出港後の24時間以内に、避難訓練を実施しなければならない」と定められている。これまでのクルーズの旅では、1回だけの避難訓練だったが、今回は船長の指示で、念入りに繰り返された。海賊対策と中東の緊張が背景にあるからだろう。寄港中で観光客が留守をしている間には、クルーが救命ボートを降ろして、実際に脱出する訓練もしている。

今日は初回の避難訓練。あらかじめ、訓練内容の詳細がニュースで伝えられているので、予定時刻にはオレンジのライフジャケットを着て待つ。

廊下に人の動く気配を感じてドアを開けると、部屋付きのボーイがいる。「非常事態発生」のベルが鳴り響き、ボーイの指示に従って、避難の列が甲板に向かう。続くアナウンスは10か国語!で流れる。内容は同じなのに、緊急の度合いの印象はかなり違い、イタリア語の案内が最後だ。「ルミノーザ号は、イタリア船籍だからね」と言う声を耳にしたスタッフ曰く、「イタリア人は緊張していると、おとなしくしているんです。イタリア語の説明が終わると、勝手に喋って騒がしくなる。だから、待たせて、最後になるようにしているんです・・・」。スタッフも苦労していると、大いに納得。

指定された場所に着くと、10人ずつの縦列で並ぶ。ボートで脱出する順番に、女性と高齢者は前の方、男性はその後ろだ。茶目っ気たっぷりに、「夫婦だから、一緒にいてもいい?」と言う女性に、周囲から冷やかしの声と笑いが起こる。夫の手を引っ張りながら、2人は列の中ほどに立った。
乗船者が避難訓練に参加したか否かをチェックするために、キャビン番号を記したカードを出して、訓練終了。

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