2012年4月13日金曜日

ペトラ遺跡、生きる人々の逞しさ






【ナバテア人の洞穴墓所のあたりは、観光客向けの店が並んでいる】

アカバ(ヨルダン)⑤ 4月2日(土)

「5時にゲート入り口に集合。歩いてきた時間を考えて、遅れないように。
心配なら、ここからはゲートまでタクシー(乗合馬車か馬のこと)を利用することも考えられますが、非常に混んで30分以上も待たされるので、歩いたほうが確実です。もし遅れたら、船まで自分で帰りましょう」。
少々脅かすような確認の注意があって解散し、自由行動の時間になる。

エル・ハズネの右手にある割れ目の先には、貴族の墳墓群、王家の墓、1枚岩をくり抜いた9000人収容の古代劇場(ローマ帝国時代に建造され、以前は住居として使われたこともある!)が続いている。
それぞれに歴史的な謂われがあり、遺跡の存在の大きさを物語っている。

観光客が岩を登って遺跡の辺りを歩き回っている。
ひょいと他人の家を覗き込む感じだし、監視の目もない。遺跡の管理はどうなっているのだろう。

そんな遺跡のすぐ下の道沿いに、雑多な土産屋が観光客を呼び込んでいる。
簡単に移動する屋台の店は、団体が現れると目敏く移動していく。

「歩くのは疲れるよ。これは楽だよ」と、しつこく誘うラクダ曳きがいる。すぐ近くに住んでいるベドウインが、個人的に仕事をしているという。
「ラクダは観光用に歩くだけで、5分もすれば降ろされますので注意してください」。帰路のタクシー利用について、そんな説明をしていたことを思い出す。

荘厳な雰囲気に浸った後だけに、ほんのわずかに岩山の割れ目を歩いた途端に、人間の猥雑さに溢れた空間への変化に驚く。

さらにこの先には、ペトラの本格的な遺跡があるが、限られた時間では訪れることは無理だ。帰路の余力を考えベンチに座り、人の賑わいを眺める。夫は円形劇場のてっぺんに登ったり、墓の近くに行ったり。時間を惜しんで、シャッターを切るのに忙しい。

全員、徒歩の余裕を計算して、集合時間に揃う。
「アル・ハズネの前を一回りして降ろされた」と、ラクダのタクシーに乗った男性が文句を言い、息を弾ませていた。ドバイで行方不明になった同じ人だった。

ペトラの余韻を味わいながら砂漠ハイウエイを走り、コスタ・ルミノーザ号への帰路につく。砂塵で靄った大地に、太陽がゆっくりと沈んで行く。
印象深い1日だった。

なお、ペトラ遺跡の画像は、掲載分を含めて、夫のアルバムにあります。以下を参照してください。
ペトラ遺跡 on Masashi's Albums

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