2012年4月6日金曜日

預言者ヨブのお墓




【預言者ヨブの墓と伝えられるもの】

サラーラ⑥ 3月27日(日)
ヨブのお墓へ向かう。 女性はスカーフを被り、全員裸足になって神妙に建物に入ると、たった一つ、人型の大きなお墓があり、スッポリと布に覆われている。その周りを歩きながら、まるでガリバーの巨人と小人のようだと思う。入り口に置かれている石の「足跡」も、なんと大きいことか。
「こんなにも巨大な足を持つ人間は、あり得ないよ。40センチ以上もあるなんて・・・」。「ほんとうに、サラーラにヨブが住んだのかなあ・・・?」「どうだろうかねえ、地中海沿岸から遠いよ・・・」。

ヨブはユダヤ教、キリスト教、イスラム教のそれぞれに登場する預言者だ。中東の宗教事情の複雑さを感じ、イスラム世界の人々が抱くヨブの偉大さが、大きなお墓になったのだろうと想像する。

ガイドの説明がはじまる。「ヨブはウズ国の族長で、信仰篤い人物でした。ドロボウに財産を奪われ、子どもを失い、自分も酷い皮膚病にかかり、神の試練の数々を受けながらも、神を信じました。偉大な預言者です。
イスラム教ではマホメットが最後の預言者であり、キリストは単なる預言者の一人にすぎません」。

イスラム教について強調されると逆効果で、かえってソッポを向く。「どうでもいいんじゃないの?」とお仲間が囁く。
お墓のある建物の周りには、ブーゲンビリアやハイビスカスの花が咲き乱れ、いたって平和な風景だ。イスラム教信仰が中東情勢に投げかけている問題とは、なんと大きい違いか。

ついでだが、ガイドのラシッドさんと個人的な話をしていたとき、「最近、二人目の妻と結婚したんです」と誇らしげに語ったことが、忘れられない。「インターネットで知り合った、ロシア人です」と、嬉しそうだった。
イスラム教を信じる男性にとって、イスラムの風習と、結婚の形態はすこぶる都合がいい。日本でも、インターネットの出会いが話題になっているから、出会いそのものは珍しくはないが、一人目の奥さんはどうしたのだろう。
「イスラム教はおかしな宗教だ」と、心の中でつぶやいたのだった。

サラーラ観光も無事に終わり、5時頃、船に戻る。
寄港地で上陸すると、目一杯に観光が繰り広げられ、新しく知る事柄に満足する。
もっと若い頃に、未知の世界に触れたかったと感じながら・・・。

6時頃、サファガ(エジプト)へ向け出港。オマーンの隣国イエーメンが政情不安だから、これから4日間は、終日航海が続く。

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