
【スエズ運河の両岸はこんな平坦な地形が続く。大部分は砂漠、ところどころ緑地、稀に市街地】
スエズ運河通峡の1日③ 4月5日(火)
運河両岸のパノラマを眺めようと、船首に行く。
スエズ市からリトルビターレイクまでの20キロメートル余は、狭い水路だ。
船の前後に、タグボートが行き交っている。航行の難所なのだろう。
10時30分にリトルビターレイクに入ると、タグボートが戻って行く。
船は、コンボイ(船団)を組んで、一方通行で運河を進む。お互いの船の間隔は、だいたい1、8キロメートルだという。
陽が高くなって暑いけれど、風が心地よい。
デッキが賑やかになっている。トランプに興ずるグループ。寝そべって読書中の人。太陽の日差しに惜しげもなく見事な!裸体を晒し、日光浴中の白人たち。
エンターテイメントコーナーでは、ちょうどサルサ踊りが始まっている。
あれあれ、早々と食事をしている子どもたちもいる・・・。
プールでは、「お腹を水面にあてて、どの位、飛沫が飛び散るか」の飛び込みコンテストが行われている。ご自慢のビール腹をしたたかに水面に落とし、周囲の笑いを誘っている。あれって、どう考えても、半端な痛さじゃない!
11時35分。大きく突き出している岬に、瀟洒な2階建てのテラスハウスと花々が咲き乱れる庭が見える。
そこを回ると、広々としたグレートビターレイクだった。地図を見ると人間の胃袋のような形だ。
ここで、 南北行きの船が、相手側のコンボイを待機し、すれ違って一方通行の航行をして行く。北に進むコスタルミノーザ号は、比較的後方に位置している。静々と進むコンボイの様子を空から眺めたら、面白い風景だろう・・・。

【グレート・ビター・レイク(大ビター湖)の決められた水路を行く船団】
南に向かう最初にすれ違った船は、自動車運搬船。モクモクと黒煙を吐くLPG船が続く。中国のコンテナ船が意外に多い。世界を舞台に活躍する中国の姿を垣間見る。
スエズ運河は、 1980年の第1期拡張工事の完成で、水深は14、5メートルから19、5メートルへと深くなり、幅も100メートルから160メートルになった。
原油満載時のタンカーは、従来は5万トンまでだったが、15万トンまでが航行可能になっている。通過船舶数も、1日70数隻になったという。
総工事資金13億ドルのうち、日本は2、8億ドルを援助し、工事全体の70%は日本が担当している。
当時のエジプトの大統領サダトが、完成記念式典で、日本の経済協力をたたえている。「この拡張・増深計画は、技術、工事、資金を含め、日本の貢献によって実現できた」と。
(この項の数字は「スエズ運河」酒井傳六著、牟田口義郎補筆、朝日文庫 1991年刊を参考にした)
エジプトの観光では、意外に日本人に親近感を持つ人が多かったが、エジプトの運河・大橋・トンネルなど、技術協力や資金援助が大きいからだろう。これからの国家戦略として、発展途上国への関わり方を思う。
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