2012年4月15日日曜日

キブツの暮らしと農業

エイラット(イスラエル)③ 4月3日(日)

ガイドの山崎さんは60歳までキブツで働き、そこでの具体的な生活の一端が語られ、面白かった。

キブツ(農業の共同体)は、主として世界中から移住してきたてユダヤ人が、家族ぐるみで集団生活をしながら、農業をする組織だ。
キブツ内では医療費や教育費は無料だし、美味しい(特に強調して自賛した!)野菜は100%自給自足で、生活費も保障される。

全国に300〜330カ所あるキブツは、1カ所には100人位から、平均して500人、大きくなると2000人位が住み、最近は人口の減少傾向がみられる。

多種類の野菜、ナツメヤシはじめ果樹類を栽培し、最近では、アボカドやグレープフルーツは輸出できるほど生産している。

ユダヤ人は頭脳優秀だからイスラエル農業技術の進歩は著しく、時間の余裕からホテルや売店を付設して収益をあげ、個人所有も認められるようになっている。

養鶏や酪農をする場合は、政府の認可が必要になる。ユダヤ人向けの厳密な屠殺方法があるからだ。

一般に、農業は親から子への世襲制で、外国人に土地を所有させないため、土地の売買は政府が仲介して、99年間の借用証明書を出す・・・。

道路に沿った奥に、大木となって茂っているナツメヤシの林が続く。その手前の砂漠の荒地に、ラクダが1頭、離れてまた1頭と点在している。乾燥に強いラクダ草がわずかに生え、ラクダが食んでいる。

こんな風景を眺めながら、かなり前イスラエルを訪れた友人が、キブツの農業の話をしたのを思い出す。
移住してきた人々が最初にしたことは、1本、1本、丁寧にナツメヤシの苗を植えることだった。毎日、遠くから水を運んで苗に注ぎ、大きく育つのを待った。
暑さと乾燥に強く、日除けになり、食料としても重宝するナツメヤシを植えたのは、国家建設の希望だったのだと、若かった頃のイスラエル理解を思い出したのだ。
余談だが、友人の現在に触れたい。彼女は、現在も毎年パレスチナを訪れ、難民キャンプの子どものために、活躍を続けている。キャンプで生まれ、幼い頃から敵を殺せと洗脳されている子どもに、憎しみは間違っていると諭し、武器を手に行動してはいけないと教えている。
「どんなことをしているの?」と尋ねると、「具体的には、争いの場所に出かけないように、引き留めることよ。争いは絶対によくない、問題の解決にならないと、繰り返して話すだけ・・・。子どもだって、命がけで戦っても、傷ついたり、死んだりはしたくないのよ。中には、パレスチナ問題や紛争の背景を考える子が育ってくる・・・」と言う。
問題を他人事にしない友人の姿に、頭が下がる。



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