2012年4月13日金曜日

多くの国と国境を接するヨルダンの現在の姿




【ヨルダンは、東にイラクとサウジアラビア、西にイスラエルとパレスチナ西岸地域、さらにエジプト、北にシリアと、多国家に囲まれている】

アカバ(ヨルダン)① 4月2日(土)旅の14日目

右舷にサウジアラビア、左舷にシナイ半島を眺めながら、10時頃、ヨルダンの唯一の港のアカバに接岸した。

イスラム圏の政治情勢の緊迫から、アデン港(イエーメン)への寄港がなくなり、代わりに、紅海北上後にアカバ湾へ入った。今日はペトラ遺跡、明日はイスラエル観光が実現する予定だ。

ヨルダン・ガイドはモハンナドさん。前に3年間警察官をし、ガイドに転じて14年。陽に焼けて、ユル・ブリンナーにそっくりなハゲ頭で、温和な表情ながら眼光が鋭く、あまり笑わない。わかりやすい説明を聞きながら、ベテラン・ガイドだと感じて、俄然、ヨルダンへの興味が現実的になっていく。

ヨルダンは、地理的に近隣諸国との関わりが重要な課題で、問題でもあるという。
バスの進行方向左側がイスラエル。その西方がエジプトのシナイ半島。右側はサウジアラビア。前方には、シリア・イラクの国境に続く。

中東に一旦事あれば、ヨルダンは、たちまちに巻き込まれてしまう。
例えば、ヨルダン西岸のパレスチナ地域は、中東戦争でイスラエルに占領されたし、イラク戦争のときには、200万人のイラク人が流入し、半分は未だにヨルダンで生活している・・・。

現在のヨルダンの人口はおよそ600万人だが、内100万人はイラクからの避難民だ。
それに、全人口の45%は15歳以下だから教育の課題は深刻だし、大人は働いて生計を得るのも大変だし、問題は大きいと痛感する。

現在もヨルダンは部族社会だ。
モハンマドさんは、「お互いのことがよくわかって、治安は非常によいです。日本に3年間住んだけれど、ヨルダンの方ずっと良いです」と、自慢する!。
国民の住所は部族長に届け、国との連絡は部族単位に行われているし、部族の規制が安定の鍵だとすれば、ウーンと唸りたくなる。

国民の94%はイスラム教のスンニ派で、国家としては、イスラムの規制が強い。
近隣のサウジアラビアやイエーメンのヘンな教え(ガイドの表現で、シーア派のこと)を受け入れている人々もいる。また、4〜5世紀にキリスト教が伝わった名残りで、少数のキリスト教徒もいる。だが、宗教はそれほど問題ではなく、政治的には安定している。

イスラム圏にしては、女性の地位が保証され、現在は5人の女性大臣と国会議員は8人、選ばれているという。

面積は北海道より少々広く、80%は砂漠だ。
水不足になりやすく、ダム・地下水(場所によっては、13メートル掘ると水が湧いている)からの泉に頼っている。2013年には、首都アンマンからパイプラインを引いて給水する計画が進行中。

義務教育は6・3・3制で、年間10ドルを納めれば、後は無料・・・。
税制は消費税16%、所得税12%。固定資産税0、01%・・・。
徴兵制は、1981年までは義務だったが、その後は希望者だけになっている・・・。

こうした基本情報が説明されるけれど、あくまでも、公式なものだろう。
ヨルダンはイスラム教スンニ派の国家として、国王が政治の実権を握り、一応、国民に信頼されている。現実には、義務教育の恩恵すらない人々はいるし、税金の負担ができない人々もいるけれど・・・。

モハンマドさんの姻戚関係の話が面白い。
「私の従兄弟(従姉妹)は現在196人います。これからどうなるかわかりませんが・・・。結婚式、葬式、犠牲祭などで、年に何回か親類が集まるときには、500人位になりますよ」と、事も無げに話す。親の世代には、複数の妻がいた者が多いからだ。
ヨルダン国王アブドラ(48歳)には、夫人1人、子ども4人の家族だが、実際にはあちらこちらに国王の子どもは154人!いるそうな。ハーレムを連想する。

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