2012年4月6日金曜日

ラクダは楽でない?




【サラーラ近在ではラクダが自由に歩き回っている】

サラーラ④ 3月27日(日)

自由に歩き回っているラクダの姿が、次第に増えてくる。 近くにはベドウインのテントが張られている。最近のオマーンでは、観光立国として国家プロジェクトを展開しているので、砂漠を移動するベドウインの生活は、半分定着し、半分移住の生活をする者が増えてきたと聞いたばかり。
ラクダに代わって、ジープを利用する者も増えている。生きているラクダの飼育の手間が、ガソリンで軽減されている。やがては、ラクダは姿を消すのだろうか。

道路沿いの木の枝に、ブラーっと垂れ下がっている奇妙なものがある。遠目には赤い布切れに見えるが、重量感が漂って、感覚的にはとても気味悪い。
「えーっ!、あれはなんだろう・・・?」。
「ラクダの肉ですよ。捌いたばかりですから新鮮です。夕食のために買いにくるのですよ」。

そのうちに、ラクダの肉を提供するレストランが、軒を並べて現れる。

動き回るラクダが肉になり、それが料理されて供される。一連の過程がこんなにもリアルに、即物的に示されるのだから、絶句。

「ラクダは、人間のために役立っています。毎日50リットル出す乳は、精力剤で、砂漠のバイアグラと言われていますよ。ラクダは飲まず食わずでも、1ヶ月は生きています。妊娠期間は12ヶ月。寿命は55歳前後。肉は食用に、皮は細工して利用。
紀元前後から飼育されてきたラクダは、自由に放牧していても、帰巣本能が強いので、飼い主の場所へ帰ってきます・・・」。
次々とラクダの説明が続くが、枝からぶら下がる肉の印象が強烈で、気分が滅入ってくる。

以前、タクラマカン砂漠でラクダに乗ったとき、意外にも気性の荒い動物だと知った。人を小馬鹿にしたような目が怖かった。過酷な自然に生きるのだから、そうそう優しくしてはいられないのだと思ったのだが、アラビア半島のラクダは、はなはだ有益な動物らしい。

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