【イスラエルの地図。訪れた場所を示す】
エイラット(イスラエル)① 4月3日(日) 旅の15日目
6時頃。いつもの朝よりもグズグズしていると、ベランダからゴトゴトと音がする。一瞬、遅かった。コスタ・ルミノーザ号が錨をあげて、ゆっくりと離岸し始めている。アカバ港に一晩停泊し、今朝早く出港と聞いていた。
ヨルダンのアカバ港とイスラエルのエイラット港は、8キロメートル足らずの距離だから、車で走っても10分あれば着く。巨体のルミノーザ号が、そんな距離を移動するのはどんな様子だろうと、興味津々だった。動いているような、そうでないようなたゆたう速度で、7時前にエイラット港の波止場に接岸。
朝食を済ませると、早めのイミグレーション手続きを済ませる。
海外旅行では、イスラエルへの入国・出国の記録がパスポートに残ると、国によっては、それ以後の旅の許可が下りなくなるから、ややこしい。クルーズ会社の場合、そんな事情を考慮して、パスポートを確認して上陸許可証を出し、空路よりは柔軟な対応をしている。
8時には上陸、すぐにバスは走り出す。
ガイドは、イスラエル在住37年になる日本人の山崎氏(65歳)。人懐こく、気さくな人で、個人的な家族(ユダヤ人の夫人と娘2人)の様子を披露しながら、一方では、「年齢をとりましたら日本が懐かしく、退職後は日本人相手のガイドをしています」と言い、長く異国に暮らしてきた人の気持ちの襞を覗かせる。
イスラエル観光は、時間の制約で、「マサダ砦」と「死海」だけだ。
「聖地エルサレム」へ行かれないのはとても残念だが、イスラエルという国に対して、わだかまりといささか身構える気持ちがある。負け惜しみだろうが、ホッとする部分もある・・・。
進行方向の右手の窓外に、昨日訪れたばかりのヨルダンの山々が連なって、その麓の同じ地層の大地に、国境のヨルダン川が流れている。風景が似ているのに、両国を分ける境界線の溝は深い。繰り返された中東戦争と、特に、イスラエルの諸々の事情を象徴するパレスチナ問題がある。その平和的な解決は、いつ訪れるのだろう。
以前、パレスチナ自治政府下の人々の様子を聞いたとき、ひどい話だと思ったし、ユダヤ人がナチス・ヒットラーの下で経験した歴史は、なんだったのかと考えたことを思い出す。
イスラエル観光の機会が、よい印象になりますようにと期待しながら、窓外の風景を追う。
0 件のコメント:
コメントを投稿